活かそう!東京都にできた『こども基本条例』

東京・生活者ネットワークが東京都に「子どもの権利条例」制定を求めて20年余り。今年3月の都議会で全議員の共同提案に、全会派が賛成し「こども基本条例」がようやくで成立しました。

国連の子どもの権利条約は1990年に発効

「子どもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、あらゆる場面において権利の主体として尊重され、最善の利益が保障されなければならない」とする国連の「子どもの権利条約」は1990年に発効し、日本が批准したのは1994年でした。

東京・生活者ネットワークは2000年に東京都に「子どもの権利条例」制定を求める請願活動に取り組むとともに、「東京の子どもの権利を考える市民フォーラム」に呼びかけ人として参加しました。

条例制定委員会の森田明美さんは語る

東洋大学教授、子どもの権利条約総合研究所監事の森田明美さんは、この「こども基本条例」について次のようなコメントを寄せていらっしゃいます。

『条例文づくりに荒巻重人さん(国連NGO・子どもの権利条約総合研究所代表)、野村武司さん(西東京市子どもの権利擁護委員・代表委員)とともに関わってきたが、そこに子どもたちが参加できず、残念。

条例で最も大事にしたいのは、子どもの意見表明と参加の項目(10・11条)。子どもたちが権利の主体であり、大人と同様に社会のパートナーであるということ。

この条例をどう活かすかは、都議会はもとより各自治体の議員、行政、市民にかかっている。行政と交渉しながら、第一に子ども・若者の意見を反映させてほしい。』

町田市では

もともと児童館などのこども施設が一切なかった町田市は、20数年前から5か所の「子どもセンター」と、それを補完する「子どもクラブ」5か所の整備を進め、冒険遊び場の数も増やしてきました。現在では、「子どもにやさしいまちづくり」を掲げ、若者が行政評価に参加して発言する機会や、市長と懇談する場を設けたりしています。

しかし、「こどもの権利条例」を持たず、現在も条例制定の兆しのない町田市で今後、子どもの福祉と権利擁護の取り組みの幅を広げられるかは私たち市民にかかっています。

全国の子どもの貧困率は13.5%(2018年)。小中高校生の自殺者数が過去最多の479人(2020年)。子どもたちの

「生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利」が脅かされています。東京都「こども基本条例」を活かし、子どもたちの未来に繋げていきましょう。